反復流産と習慣性流産(不育症)

反復流産と習慣性流産(不育症)の原因

一口に不育症といっても原因は様々です。
また残念なことに全ての原因が解明されているわけではありません。
ただ現時点では次のようなものが考えられています。

 

内分泌異常…ホルモンの働きが異常なことをいいます。
授精卵が着床する時に十分なホルモンの働きが必要ですが(主に黄体ホルモン)、このホルモンの働きが十分でないと流産しやすくなります。
またプロラクチンホルモンの働きや、甲状腺ホルモンも関係することがあります。

 

また、糖尿病がある人も症状の程度により流産しやすい時期があります。

 

子宮の形の異常がある時

子宮の内腔(赤ちゃんの入る所) の形の異常、以前の流産や感染症のための癒着、子宮筋腫や子宮内膜症のための異常がある時があります。

 

妊娠前に手術を受けて正常な形に治すようにすすめられる時があります。
また妊娠中に分かった時は安静の指示が出たり、入院治療がすすめられることがあります。

 

このような異常のある時は子宮の筋肉が収縮し、流・早産の症状が出ることが多いので、子宮の筋肉の収縮を抑えて治療を行います。
出血などの症状がなくても、早目の治療がすすめられる場合があります。

 

遺伝子の異常

染色体の異常ともいいます。
本人と夫の染色体検査で異常が見つかる時があります。
異常の種類によって主治医から説明があります。

 

免疫異常

人間には本来自分以外の物が自分の身体の中に入った時は、それを排除しようという働きがあります。
これを免疫あるいは免疫反応といいます。

 

赤ちゃんは、半分はお母さんの遺伝子を持っていますが、半分はお父さんの遺伝子を持っています。
従って赤ちゃんは完全にはお母さんと同じ個体ではありません。
このため赤ちゃんは本来は拒絶されお母さんの身体の外に押し出され、流・早産になってもおかしくはないのですが、普通は拒絶反応は起きません。

 

これには非常に複雑な「免疫」のメカニズムが働いていることが分かってきました。
この「免疫のメカニズム」のどこかに異常が起こると流産しやすくなると考えられています。

 

現在のところこの「免疫のメカニズム」のくずれについては2つの働きが想定されています。

 

@同種移植免疫によるもの
赤ちゃんを他人と認識して流産の形で外に出そうという働きをいいます。
NK活性などこの同種移植免疫反応が起きているかを調べるいろいろな検査がありますが、保険が効かない検査もあり必要に応じて主治医から説明があります。

 

治療としてリンパ球輸血がすすめられる場合があります。
この他いくつかの治療方法が考えられており、それらの治療をすすめられることがあります。医師との相談が大切です。

 

C自己免疫によるもの
自分の身体を構成する成分に対して免疫反応を起こす状態。
このため自分と同じと思っている赤ちゃんを外に出そうという働きがおこることがあります。
こういう時は、抗リン脂質抗体などの抗体を調べます。

 

これらの異常が考えられる時は、

  • 低用量アスピリン
  • ヘパリン療法
  • ヘパリン療法+低用量アスピリン
  • プレドニン
  • 漢方薬などによる治療法

が考えられております。

 

血液凝固因子に異常がある時

何らかの原因で出血が起こった時、血液が固まって出血が止まります。
出血が止まるために血液中の凝固因子というものが働きます。
この因子の1つに異常があると流産しやすくなる時があるとの考えがあります(第Z因子といいます)。

 

感染症

クラミジア、淋病などの性感染症を含む、いろいろな感染症(特に慢性化したもの) では流産の原因になり得る時があると考えられております。

 

不育症が疑われる時は、これらの検査を行った上で、必要な治療をすすめられるのが普通です。

 

しかし治療の進歩はとても早く、場合によってはもっと別の治療をすすめられる時もあります。

 

不幸にして流産を経験され、他人には分からない苦痛を背負われる方も多勢おられます。
こうした時は、夫を含め周囲の人々の暖かい心遣いが何よりです。
励ますことも役に立つ事がありますが、ゆったりとした心で暖かく見守ってあげることがとても大切になります。

不幸にも流産されたお母さんには「流産直後にまた次頑張ればいい」などと励ますのは、かえって良くないという考えがあります。

 

「うつ」状態の方と同じで、気分が落ち込んでいるときは、ただやさしく見守ってあげるほうが良いでしょう。周囲の温かい雰囲気でお母さんは少しずつ元気が出てきます。

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